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魔法と区別がつかない

思春期の頃、SF雑誌 『アナログ』を読むのが大好きでした。中でも特に気に入っていたのはハリー・タートルダヴの「Hindsight(後知恵)」でした。(1984年12月中旬発行のこの「特別パロディ号」は今でもガレージに保管しています。)

「Hindsight」では、1950年代のパルプSF作家が、無名の作家が自身の構想段階の作品と驚くほど似た作品を出版したことを知り、驚愕する。彼と編集者は調査を進め、ついに一人の女性を発見する。彼女は未来から来たSF作家で、なんと1983年から1950年代にまで遡り、SFを通して世界を変えようとしているのだ。

この物語が好きな理由はたくさんある。中でも、SFには世界を変える力があるという考え方――認めるかどうかはさておき、どんなに冷笑的なSF作家でさえも共有している考え方――が好きだ。そして、未来から来た女性が歴史的出来事(「ヒューストン、問題発生」や「テト攻勢」)を、パルプSFとして再利用している点も好きだ。(私たちは皆、誰かのSFの世界に生きているのだ。)

でも、この物語で一番好きなのは、未来から来た作家が二人の男を自分の奥の部屋に案内するシーンです。そこには未来のテクノロジーが保管されています。1980年代のワードプロセッサーとドットマトリックスプリンターが置かれており、2013年の視点から見ると時代遅れに見えるものの、物語に登場する男たちにとっては衝撃的な存在です。そして隅には、小型のカラーテレビに接続されたトップローディング式のビデオデッキがあります。彼女は作家に『スター・ウォーズ』を聞かせ、作家は驚愕します。カラー映像だけでなく、見覚えのある、しかし歳を重ねたアレック・ギネス演じるオビ=ワン・ケノービにも。

「Hindsight」自体へのリンクを貼って、皆さんに読んでもらいたいのですが、私の知る限りでは電子書籍「3xT」の一部分としてしか入手できません。読む価値はありますが、10ドルも払う価値はないでしょう。

とにかく、今朝、5MB のハードドライブが航空機に積み込まれている画像が載ったツイートを読んで、「Hindsight」を思いついた、ということを長々と述べてしまいました。

この写真は、フォークリフトに乗った男性が巨大な金属製の箱を持ち上げているものです。私はすぐに、57年経った今でもポケットに入れて持ち歩いている32GBのiPhone(ストレージ容量は当時の6400倍)のことを思い出しました。「後知恵」という言葉が頭の中でずっと鳴り響いている今、1950年代の人々にこの携帯電話を見せたらどう思うだろうかと考えました。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

こういうことを考えているのは私だけじゃないはず。(マーティ・マクフライのウォークマンのことですよ!)それでTwitterでこのことを話したら、突然、1956年のSF作家たちを圧倒するために、今からタイムスリップしたいAppleデバイスは何かという議論に巻き込まれました。(興味があれば、Storifyに全文を保存しておきました。)

準備に時間があれば、iPadはおそらく正解でしょう。(充電器はお忘れなく!)タブレットは驚くほど小さいですが、見栄えの良い大画面を備えています。50年代の人々が唖然として群がっても、十分な大きさです。また、膨大な量のコンテンツを保存できる容量も備えています。1956年にウェブサーフィンはできませんでしたが、多くのアプリはネットワーク接続なしでも問題なく動作します。もちろん、未来の音楽、映画、テレビ番組、書籍などをプリロードしておくこともできます。iPadが1台あれば、歴史が一変するかもしれません!

準備する時間がなかったらどうする?瞬きしたら嘆きの天使に過去に戻されてしまったらどうする?そうしたら、ポケットの中にiPhoneだけ残されることになる。それでも素晴らしい製品だが、すぐに機内モードにして、充電方法を調べ始めることをお勧めする。iTunes Matchを使っているなら、若くて感受性の強いポール・マッカートニーにビースティ・ボーイズを聞かせるチャンスを逃してしまうだろう。

天使といえば、おそらくピンの頭の領域に深く入り込んでいるでしょう。しかし、2070年のテクノロジーを私たちがどう捉えるか、考えてみてください。

アーサー・C・クラークは、「十分に進歩した技術は魔法と区別がつかない」という有名な言葉を残しています。あらゆるテクノロジー企業が、現代の消費者にとっても魔法のように見える製品の開発を目指すのは素晴らしいことです。(Appleが自社製品にまさにこの言葉を使っているのも当然でしょう。)

さて、失礼します。この振動オーバースラスターをフラックスコンデンサーと交換しに行きます。