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Facebook、中国でサービス開始できるか不透明

世界最大のインターネット市場の一つである中国は、中国政府の厳しい検閲政策のため、フェイスブックの手の届かないところにある可能性があると、同社は水曜日の新規株式公開(IPO)申請書の中で述べた。

しかし同社は引き続き「中国への進出を検討中」だという。

アナリストたちは、Facebookにとって中国市場がすぐに好転するとは予想していない。すでに人気の個人向けソーシャルネットワーキングサイトが存在する中国市場は、Twitterのようなマイクロブログへと移行しつつある。

「中国はFacebookにとって大きな潜在的市場だが、中国からのユーザーによるFacebookへのアクセスは一般的に制限されている」と提出書類には記されている。「当社と中国政府の両方が受け入れ可能なコンテンツと情報の管理方法を見つけられるかどうかは不明だ」と付け加えた。

Facebookの中国市場参入に関する憶測は、2010年後半、同社のCEOマーク・ザッカーバーグ氏が中国の大手IT企業数社を訪問した際に高まった。しかし、中国市場に参入するには、Facebookは中国の検閲法を遵守する必要があり、この法律では政府を批判するコンテンツの削除がウェブサイトに義務付けられている。現在、中国ではFacebook以外にも、YouTubeやTwitterといったインターネットサイトがブロックされている。

中国インターネット市場を注視する独立系アナリスト、ビル・ビショップ氏は、中国政府は常にフェイスブックを警戒していたと述べた。昨年、フェイスブックが中東および北アフリカ諸国の政府に対する抗議活動を行うためのフォーラムとして機能したことで、こうした懸念はさらに強まったとビショップ氏は述べた。

「フェイスブックが中国に進出したいなら素晴らしいことだが、短期的あるいは中期的に実現する可能性は極めて低い」とビショップ氏は付け加えた。

北京に拠点を置くマーブリッジ・コンサルティングのマネージングディレクター、マーク・ナトキン氏は、フェイスブックは既に国内の有力企業が参入している市場でも競争を強いられるだろうと述べた。こうした競合企業には、フェイスブックに似たユーザーインターフェースを特徴とし、9月30日時点で1億3700万人のユーザーを抱えるRenrenなどのサイトが含まれる。

しかし、中国のインターネットユーザーの多くは、人人網(Renren)などのFacebook系ソーシャルネットワーキングサイトから離れ、中国企業が運営するTwitter系のマイクロブログに移行しつつある。中国インターネット情報センターによると、これらのTwitter系マイクロブログの中国ユーザー数は2億5000万人に達している。

「競争の観点から言えば、市場はすでに変化している」と彼は付け加えた。

中国国内でブロックされているにもかかわらず、Facebookは依然として中国国内にユーザーを抱えている。2006年からFacebookを利用している北京在住の石北塵(し・べいちん)氏は、中国当局によってブロックされているサイトを閲覧できる仮想プライベートネットワーク(VPN)経由でFacebookにアクセスしているという。

彼がFacebookを使う理由の一つは、検閲がないことだ。また、TumblrやInstapaperといった様々なインターネットアプリケーションをFacebookを通して一つのプラットフォームに同期できる点も気に入っていると彼は言う。

「フェイスブックは中国に進出するだろう。ザッカーバーグ氏も進出を望んでいる。しかし、非常に困難になるだろう」と石氏は述べ、中国の検閲法と、既に中国で運営されているソーシャルネットワーキングサイトの人気を指摘した。

「外国のインターネット企業は、中国のインターネット市場やユーザーの習慣をまだ十分に理解していない。たとえデリケートな問題に関わらなくても、成功するのは難しいだろう」と彼は付け加えた。