
Appleと大手音楽レーベルとの関係は、常に少々ぎこちないものでした。DRMや変動価格設定といった問題をめぐって、ジョブズ氏とレコード業界の間には長年にわたり確執が続いてきましたが、Macworld Expoの基調講演で、レコードレーベルがついにDRMを放棄し、Appleが彼らが切望していた柔軟な価格設定を認めるという発表があったことで、ようやくこの確執に終止符が打たれたかに見えました。
しかし、ニューヨークタイムズ紙に語った音楽業界幹部によると、状況は相変わらず緊迫しており、音楽市場におけるアップルの圧倒的な存在感がレコード会社に対して不釣り合いなほどの影響力を与えており、同社もその力を使うことをためらっていないという。
匿名を条件に、複数の音楽業界の幹部が、Appleが意見の相違からiTunesストアからレーベルの楽曲を削除するのではないかと恐れて業務に携わってきたと主張している。しかし、そのような事態は実際には起こっていない。クリスマスイブに、ジョブズ氏とソニーミュージックの会長ロルフ・シュミット=ホルツ氏が、iTunesの楽曲価格変動導入までの期間について激しいやり取りをしたという話さえある。電話のやり取りがどのようなものだったかは想像するしかないが、結果は明白だった。ソニーはジョブズ氏の主張を受け入れ、誰も靴下の中に石炭を詰め込むことはなかったのだ。
大手レコード会社がAppleを恐れるのは当然だ。Appleのボイコットは、既に経営難に陥っている業界にとって壊滅的な打撃となりかねないからだ。スティーブ・ジョブズの不在も人々の不安をかき立てることはないようだ。iTunes担当副社長のエディ・キュー氏をはじめとするAppleのスタッフは、ジョブズ氏の交渉スタイルを真似しようと全力を尽くしていると言われている(静かながらも毅然とした、父親の「怒っているんじゃない…ただがっかりしているだけだ」というセリフを少し彷彿とさせるような交渉スタイルだと聞いている)。
もちろん、こうした状況を受けてレーベルは代替のオンライン音楽配信先を模索していますが、当面はAppleが音楽販売の絶対的なリーダーであることを受け入れざるを得ないでしょう。今のところ、消費者にとって好ましい結果となっています。この傾向が、ロスレスオーディオなど、さらなるメリットの領域にも広がっていくことを期待しています。